eSIM搭載コンシューマIoTデバイスをアクティベートする3つの方法


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2016年を皮切りにeSIMを搭載した新たなIoTデバイスが次々と登場する中、eSIMを搭載したモバイルデバイスをネット接続するための簡単で使いやすいカスタマーエクスペリエンスの設計が新たな課題になりました。eSIMはデバイスの内部の奥深くに組み込まれている部品であるため、モバイルエコシステムを構成する各企業は協力してこの課題に明確な回答を示すことが求められています。

 

いかにしてオフラインのeSIM搭載デバイスからリモートモバイル接続を確立し、同時に従来のSIMでの接続より満足度が高くなるユーザーエクスペリエンスを提供するか?

このページでは、コネクティッドPCやスマートウォッチなどのeSIM搭載コンシューマデバイスをリモートでアクティベートするための3つの方法をご説明します。

eSIMアクティベーションチャレンジとは

これまでのSIMカードは特定の事業者と接続するための部品でした。SIMカードそのものがモバイルネットワークオペレーターとの通信契約を示すものであり、簡単に取り換えて、自由に変更できました。このため、SIMカードは今後も使われ続けることでしょう。

新たなeSIMエコシステムは、SIM、つまりモバイルネットワークオペレーターとデバイスメーカーにとっての物理的な市場を、完全にデジタルに置き換えることになります。このように、SIMカードがものではなくなっていくことは、モバイルネットワークオペレーターにとってビッグバンにも等しい出来事で、なぜなら接続性をユーザーとの間で確立するプロセスのデジタル化を意味するからです。SIMの後継者として、eSIMはこのカスタマーエクスペリエンスをさらに高めていかねばならないのです。

先に進める前に、eSIMアーキテクチャを構成する3つの部品をおさらいしておきましょう。

  • eUICCは、小さなハードウェア部品で、デバイス内にeSIMのプロファイルを保管する安全なコンテナの役割を果たします。
  • eSIMプロファイルはユーザーの契約内容やネットワーク設定を格納する仮想的なプロファイルで、指定のモバイルネットワークにユーザーを接続します。
  • 事業者が運用するeSIMサブスクリプションマネジメントサーバー(SM-DP+など)は、eUICCに保管するeSIMプロファイルを安全にダウンロードするための基盤システムです。事業者のBSS(ビジネスサポートシステム)が通信契約を発行する際に、SM-DP+にこの契約が有効であると知らせると同時に、eSIMプロファイルの生成を指示します。

 

それでは、eSIM搭載のコンシューマデバイスをアクティベートする3つの方法を見ていきましょう。eSIMベースのモバイルサブスクリプションとeUICC搭載のコンシューマデバイスをリンクさせるには何通りもの方法があります。

1. QRコードによるアクティベーション

2. デフォルトで設定されたSM-DP+アドレスベースでのアクティベーション

3. GSMAのルートディスカバリーサービスによるeSIMアクティベーション

1. QRコードによるアクティベーション​

ユーザーが、キャリアショップやオンラインで、eSIMベースのモバイルサブスクリプションを、既に持っているeSIM搭載デバイスかこれから買うデバイス用に購入しようとしていると想像してみてください。モバイルオペレーターにとっての最初の選択肢は、スマートフォンで読み取れば、購入したサブスクリプションに対応するeSIMプロファイルを目的のデバイスにダウンロードできるQRコードを提供することです。見方を変えると、このQRコードはSM-DP+のアドレスをはじめとした情報のセットを持っていれば、その情報が、どこに行けばeSIMプロファイルが手に入るかをデバイスに教えると言うこともできます。

3つの前提条件

  1. 1. 最初に、スマートフォンがSM-DP+にアクセスするためのネット接続が必要になります。基本的にSM-DP+はデジタルのeSIMプロファイルを保管するプラットフォームであるため、最初の接続はWi-Fiで行うか、デバイスメーカーから提供されるeSIMのブートストラッププロファイルを用いて行います。
  2. デバイスメーカーはデバイスのOSにLPA(ローカル プロファイル アシスタント)を組み込む必要があります。LPAはeSIMプロファイルをeUICCにダウンロードするためのアプリケーションで、例えばQRコードの読み取りといった、エンドユーザーによるデバイス上でのプロファイル管理を可能とします。
  3. 販売店は、QRコードを印刷するPOS端末が必要になります。ただし、QRコードの紛失や盗難といったリスクがあることにご留意ください。
starhub activation voucher two-sided.png

Samsung Gear S3 4Gスマートウォッチ向けStarHubのeSIMアクティベーション用シート


 

なお、以下の2つのことを覚えておいてください。

  1. このアクティベーション方法はeSIM搭載コンシューマデバイスの多くで採用されています。例えばSamsung Gear S2 3Gスマートウォッチ用にTIM ItalyOrange Franceが採用しました。
.eSIM-capable smartwatch subscription activation flow.PNGSamsung Gear S2スマートウォッチでのアクティベーションの流れ

 

Smartwatch Samsung Gear S2 mobile subscription activation flows via QR code.png 

Samsung Gear S2スマートウォッチのアクティベーションにおけるQRコードの読み取りプロセス

  1. QRコードを使うのは、市場でオープンに流通しているデバイスに限定されます。すなわち、キャリアとの紐付けなしに販売されるデバイスが対象となります。

 

2. eUICCにデフォルトで設定されたSM-DP+アドレスによるアクティベーション​

モバイルオペレーターは、自社ブランドのデバイスとともにモバイルサブスクリプションを販売することもできます。

2番目の選択肢は、デバイスの製造工程で、オペレーターのリモートSIMプロビジョニングプラットフォーム(SM-DP+)によって、デバイス内のeUICCに組み込まれたeSIMサブスクリプションをアクティベートするというやり方です。デバイスは、最初に起動された時に、直接SM-DP+サーバに接続してeSIMプロファイルを読み込みます。

この方法では、eSIMの採用とアクティベーションを簡素化でき、カスタマーエクスペリエンスが高まります。

しかしこの方法は、デバイスを自社ネットワーク向けにカスタマイズする必要があるため、モバイルオペレーターはデバイスメーカーと緊密に連携しなければなりません。このため、オープンに市場に流通している製品に比べ、在庫やサプライチェーンコストの面で課題が残ります。

この方法の場合も、デバイスがSM-DP+サーバにアクセスする際の最初のネット接続が必要となります。

このメカニズムは、特定のモバイルオペレーターに紐付けされているeSIM搭載デバイスにのみ適用できるもので、ユーザーはそのモバイルオペレーターが販売するデバイスを通信契約込みで購入する必要があります。このため、米国のようにポストペイでの利用が多数を占める市場において有効だと考えられます。

3. GSMAのルートディスカバリーサービスによるeSIMアクティベーション

GSMA’s Root Discovery service-based eSIM activation eSIM搭載コンシューマデバイスをリモートでアクティベートするための3番目の選択肢は、2017年の後半から利用可能になりました。

 

サブスクリプションマネジメントルートディスカバリサービス(SM-DS)は、オープンマーケットで販売されているeSIM搭載コンシューマデバイスをモバイルネットワークに接続する際にユーザーに選択肢を与えることで、カスタマーエクスペリエンスを大きく向上させることを目的としています。

この方法では、ユーザーはデバイスとeSIMベースのモバイルサブスクリプションを別々に購入します。最初に起動した時に、デバイスは自動的にそのデバイスに紐付いたeSIMプロファイル(購入したモバイルサブスクリプションに従ったもの)をリモートから取得します。

使えるモバイルサブスクリプションのアクティベーションが即座に提供され、エンドユーザーは非常に簡単にeSIMテクノロジーの恩恵にあずかることができます。

この方法では、販売店もユーザーもQRコードを発行したり印刷したりといったわずらわしさがなくなります。

どうすればこれが実現できるのでしょう?

QRコードによるアクティベーションと同様に以下の前提条件が必要になります。

  1. スマートフォンをSM-DSプラットフォームにつなぐための、デバイスの最小限の接続機能
  2. デバイスのLPA対応

加えて、モバイルオペレーターやモバイル接続のプロバイダーは、SM-DP+プラットフォームとSM-DSプラットフォームを連携させなければなりません。

現在、GSMAルートディスカバリーサービスを提供しているのはGSMAのみです。

結論:ユーザーエクスペリエンスを中心としたeSIMのアクティベーションを

新たなeSIMアクティベーションの方法を生み出す原動力は、ユーザーエクスペリエンスの向上です。

このため、モバイル市場のステークホルダー全社が、さらなる改善を目指して日々取り組んでいます。2018年は、新たなアクティベーション方法が登場する、eSIM搭載デバイスにとって重要な年となるでしょう。​​

 参考資料